キモノ試行錯誤 2024 初秋

毎年書いている気がしますが、今年の夏も本当に暑かった、、、
まだおろしていないゆかたが何枚かあるので、今年は5回くらいは着たいな、なんて思っていましたが、ちょうど相方が夏休みだった7月中旬、ゆかたでの外出を予定していたものの、体温超えの暑さで断念。
8月に入ると出展を見据えた健康管理の一環で、人混みや外食なども控える方向でいたので、結局盛夏のうちにゆかたは着れずじまいでした。

とにかく暑い、9月に着るキモノ

三越さんの出展は9/4からだったので、何を着るかと考えた時に、まだ気温は夏だし、9月上旬だからゆかたもありかな。衿付で着物風なら…と思っていました。

しかしながら、つばめボビンは秋冬色の強いブランドで、品物が秋めいているのに(これは年中ですが・笑)販売する私が夏を引きずっているというのはどうも…。

そんなことを考えていたら、会期の直前に2日ほど妙に涼しい日があって。
ひんやりと気持ちのいい空気を感じたら、あぁ、やっぱりもう季節は秋だよね、という気分に。
会期には普通に猛暑日に戻ったのですが(笑)

一日中着物を着ての立ち仕事は、私のように普段引き籠って作業に明け暮れている身には楽しみな反面、正直それなりに負担がかかるもの。
せめて身につけるものは無理なく快適に楽しく、という思いが、体力に反比例するかのように年々強くなっています。

近年の温暖化の影響で、9月・6月は単衣、という基準は、少なくともカジュアルにおいてはすっかり過去のものになった…というよりも、もはや無理があるとさえ感じます。

昨年、9月の30℃超えの日に正絹の単衣を数時間着ただけで汗だくになり、丸洗いに汗抜きと染み抜きが加算されて痛い思いをしてからは、特に仕事着としては洗える着物を揃えておかなくては乗り切れないと痛感。年始の木ノ花さんの新之助上布のイベントで、春や秋にも着られる色の綿麻着物を思い切って3着誂えました。

新之助上布は透け感がなく色柄も面白くて、私はかなり使い勝手のいい仕事着として、気候によっては3月から11月の上旬くらいまで、なにかと重宝しています。

新之助上布の着物に越後上布の帯。軽い素材ながら、色味はやや秋の風情?
本当は夏物の帯揚げをかけるべきなのでしょうが、合う色を持ち合わせておらず(泣)
帯留はピーターサイト、帯飾りは水晶

とはいえ、単に長い期間着られることが良いというわけでもなく、キモノにおいては少し先取りの季節感も、重要かつ楽しみたい要素ですよね。

もうそこまで来ているはずの秋の色味や雰囲気を取り入れながら、涼しく快適に過ごすには…と考えた末に、急遽、透けない麻100%の仕立て上がりの着物を何枚か手に入れました。

結果、やはり麻は風が通り、綿麻よりも一段階涼しいと実感。
汗をかいても目立ちにくくすぐに乾き、何より洗えることの安心感が本当に素晴らしくて、30℃超えの日には初夏からも着たいくらい。
これは私にとって嬉しい発見でした。

格子柄の麻着物に競馬の名古屋帯で秋色コーディネート
チェコ製ガラスボタンのペガサスの帯留に琥珀のルビーレッドの帯飾り

細かいギンガムチェックの麻着物にペガサスの名古屋帯
チェコ製ガラスボタンのペガサスの帯留に、レインボームーンストーンの帯飾り

結局、一日だけゆかたも衿付で。
鶴の松煙染のゆかたに、首里のロートン織の半幅帯
帯留はドラゴンブレスのモーヴ、帯飾りはオイスターの淡水パール

 

インナーのこと

着物の下の半襦袢は、今回から衿秀さんのき楽っく(涼)を着用しはじめました。

erihide-store.jp

それ以前は別のメーカーの半襦袢を愛用していましたが、汗っかきな私には見頃部分の楊柳の生地が少し薄く、頼りなく感じてもいて。

出展中は連日着物なので、半衿の付け替えも億劫がって、つけっぱなしにした2枚をコーディネートに合わせて洗い替えするなどして着回しがちでした。

き楽っくはファスナー式の衿が単体でも販売されているため、あらかじめ半衿を縫い付けた状態の衿を多めに揃えておけば、ほぼ日替わりで交換しながら使うことができます。
「涼」は夏物ですが、薄いので洗って夜干しておけば、朝には乾いているし、ファスナーでの取り付けはイメージしていたよりも目立たず、一瞬でつけ外しができるので、時間がないなかでもコーディネートに合わせた半衿を楽しむことができました。

深いブルーのグラデーションの麻着物にバティックの半幅帯
黄色とグレージュの刺繍の半衿
帯留はゴールデンセラフィナイト、帯飾りは琥珀のルビーレッド

さらに衿を出す分量も多めにしたかったのに、以前は気づくと細くしか出ていないことが多かったのですが、き楽っくはしっかりと固定されるのか、多めでキープされるのも思いがけない収穫でした。

また、半襦袢の下は長らくステテコ+裾除けのダブルが定番でしたが、2日目からは裾除けをやめ、麻のステテコのみに。
これまた風が通って、かなり暑さを凌ぐことができた上に、意外に不便もなかったことに驚き。
案外化繊の裾除けが汗だくを助長していたのかもしれないという、衝撃の事実…?

帯板のこと

数年前にやっと、名古屋帯の帯結びは前結びに定着しました。

そのきっかけにもなった、とても使いやすく気に入っていた前結び用帯板があったのですが、滑りやすいようにぐるりと一周化繊の素材になっているため見事に蒸れて、いつも着物を脱ぐと帯下部分だけが湿った状態になるのが悩みでした。

以前には前結びの帯板を何種類も試したり、スカーフのような滑る素材を巻いて、後ろに回した後に取るなど、いろいろ試しましたが、最も良かったのが、たかはしきもの工房さんの「べっぴん帯板 メッシュ前結び用」。

www.kimonokoubou.co.jp

全体がメッシュ素材で、帯下の蒸れ感は格段に軽減。
帯を締めた後の回しやすさは以前のものの方が上ですが、蒸れ問題がついて回る前結び用帯板のなかでは、画期的な商品だと思います。


着物を着はじめて、早10年以上になりますが、その間に着物との付き合い方も変わり、必要な要素も変化してきました。

年数だけは経っていても、断続的でもあり、まだまだわからないこと、気づけていないことが多いと感じます。

今回は撤収作業のある最終日以外、6日連続キモノでの勤務でしたが、連日だからこそ試行錯誤の効果を実感しやすく、いい意味で鍛えられているなぁとありがたく思います。

着付けというものは本当に人それぞれ。私は独学ということもあり、自分に合う道具ややり方を手を変え品を変え、試しつつ探りながら良くしていけるところがなんとも奥深く、楽しみでもあるなぁと思います。

これからも試行錯誤は続くでしょうが、私なりに着物での時間をより快適に過ごすためのTipsを積み上げていきたいと思います。

長いうえにごく個人的な文章に、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。