阪急うめだ本店へ 《ビーズの羽織紐》

10月よりお取扱いが始まりました、阪急うめだ本店さんへ納品した作品とともにつばめボビンのキモノコモノをご紹介するシリーズ、第4弾の今回は《ビーズの羽織紐》。

▽これまでのご紹介記事はこちら
第1弾 淡水パールの羽織紐

第2弾 ナプキンクリップ

第3弾 天然石の帯留

 

商品名としては、「ジュエリークロッシェの羽織紐」と「スパイラルロープの羽織紐」を、オンラインショップではビーズの羽織紐としてカテゴライズしています。

tubamebobbin.thebase.in

「ビーズ」と一口にいっても、素材はさまざま。
大きなものから小さなものまで、広義には通し穴があいていればビーズと呼ばれたりもするのですが、ここではごく小さな数ミリ以下のガラスビーズやグラスビーズを指しています。

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上:スパイラルロープの羽織紐/下:ジュエリークロッシェの羽織紐

ジュエリークロッシェ、スパイラルロープ、というのは、それぞれの技法の名前。
両者は似たような仕上がりながら、実はちょっと作り方が違ったりします。

 

*ジュエリークロッシェ
クロッシェ(フランス語で「かぎ針編み」の意)という名前の通り、専用の糸にビーズを規則的に通し、細いかぎ針で紐状に編んでいく方法。

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ジュエリークロッシェの羽織紐

*スパイラルロープ
ビーズステッチ専用の糸を針に通し、一粒一粒ビーズを拾いながら刺して紐状にしていく方法。
ビーズが螺旋(スパイラル)状に固定されていくので、この名があります。

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スパイラルロープの羽織紐

さまざまなビーズが混じり合っているのがジュエリークロッシェの魅力なら、スパイラルロープの魅力は美しく並んだ螺旋の端正さ、といったところでしょうか。

 

発想の発端は、夜空に輝く星々。

あるとき、キモノ姿の真ん中に、天の川のようにキラキラした羽織紐があったら…というイメージがふと浮かびました。

天の川のような羽織紐。それは素敵に違いない…! とイメージ先行で技法を探して出合ったのが、ジュエリークロッシェでした。

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ジュエリークロッシェの羽織紐

さまざまなビーズが絡み合いながら紐状に編みこまれている姿に、細かいビーズをこんな風に使う細工があるんだ…と私はすっかり魅せられてしまって。

しかも組み合わせ次第で、デザインは無限大。
大きなビーズで太くしたり、小さなビーズで細くしたり。変形ビーズをところどころ飛び出させてみたり…。

これが羽織紐だったら欲しい、それは欲しいでしょう! と、ひとりで大いに盛り上がり、なにかに突き動かされるように猛特訓を重ねました。

 

実は、ビーズの羽織紐を作る以前の私の「ビーズ」のイメージは、失礼ながらどちらかというと少女が遊びで使う、プラスチックの大粒のビーズに近いものでした。

ところがどっこい、日本のグラスビーズは、すごいのです。

タネのように小さいことから「シードビーズ」とも呼ばれるグラスビーズの主な生産地は広島県。

その生産量の多くが輸出用だそうで、ジュエリーとしての繊細なビーズ織りや刺繍などの細工に使われるほか、ハイブランドのコレクションを彩る素材としても用いられるなど、おそらく日本人が認識している以上に、日本のグラスビーズは世界で高く評価されているのです。

さまざまなビーズを使うようになってわかったことですが、海外製に比べ、日本のグラスビーズのなんと均一で美しいこと。

あのひと粒ひと粒の大きさや穴の大きさ、色合いにいたるまで、たいへん精緻な技術で作られていて、やはり日本のこうした製造業の仕事は素晴らしく、それを自由に仕入れて使うことができる日本にいることの幸せを感じます。

ビーズの歴史や製造工程についてはこちら(株式会社MIYUKIのサイト)

www.miyuki-beads.co.jp

つばめボビンのビーズの羽織紐では、そんな国産のグラスビーズと、同じくガラス製造では高い技術をもつチェコ製のガラスビーズ、オーストリア製のスワロフスキー・クリスタルを中心に使用しています。

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スパイラルロープの羽織紐

金具は、以前はレバーで開閉するカニカンを使っていましたが、小さなカニカンは羽織の乳がボロボロになったり、引っ掛けづらくて苦手、という方が結構いらっしゃるので、最近は引っ掛けるだけのフックタイプを使用しています。
きちんと引っ掛けて通していただければ、外れる心配はほとんどありませんので安心してご使用ください。

※阪急うめだ本店さんに納めたものはフックタイプのみ。オンラインショップはカニカンとフックタイプが混在しています。

 

余談ですが、私は日本のヴィンテージのビーズバッグが好きで、よくキモノに合わせて持つのですが、ビーズバッグに施されているビーズ刺繍もまた、国産ビーズの美しさを味わえる逸品。

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現在、ビーズバッグを生産しているところはかなり貴重な存在ですが、ヴィンテージのビーズバッグであれば、アンティーク着物のお店やオークション、骨董市などでも比較的手に入りやすく、ほとんど未使用に近い状態のいいものも多く出回っています。

昭和のビーズバッグは、国産ビーズの美しさと職人技の結晶。
ビーズがぎっしり刺繍されているので少し重いのと、バッグとしては小さいものが多く、なかには最新のスマートフォンが入らないものもありますが(苦笑)、それでも持ちたいビーズバッグ!

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ピントがバッグに合っていませんが(汗)


ビーズバッグやビーズを知りたい方にはこんな本もあります。ご興味のある向きには。

www.amazon.co.jp
バッグに話が逸れてしまいましたが、ビーズの羽織紐は現在、期間限定で阪急うめだ本店 11階《きものこんしゃす》にてご覧いただけます。

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上はやや辛口な色合わせ。

下は葡萄の果汁がじゅわっと滴る様子をイメージして製作しました。

ビーズの羽織紐のほか、淡水パールとチェーンの羽織紐、帯留、帯飾り、ナプキンクリップ なども置いていただいておりますので、お近くへおいでの際にはぜひご覧くださいませ。

阪急百貨店うめだ本店
11階 きもの売場《きものこんしゃす》
大阪市北区角田町8番7号

 

//// 今後の出展予定 ////

11/17(火)〜23(月・祝)
西武渋谷店 A館 7階 サンイデー・ギャラリー
10:00〜20:00(最終日は16時閉場)

12/23(水)〜29(火)
横浜高島屋 7階 呉服売場
10:00〜20:00